2009年度活動スケジュール







↑TEZZO by Tetsuya Ota



↑太田哲也KEEP ON RACING


TEZZO RACERS CLUBレポート

4月26日(日)アルファチャレンジ東北 Rd.1
場所:スポーツランド菅生

会員No.141 伊藤広一
車種 アルファGT2.0
参加内容 走行会&アルファロメオチャレンジAR150-6

伊藤広一


TEZZO初サーキットを経験して3年目を迎えた2009年の初戦となるSUGOでのアルファロメオチャレンジに参加するため、家族総出で仙台に向け出発。道中はずっと雨で結構本格的に降っている。予報ではレース当日には雨は上がると言っているが、心中はそのまま雨が続いてほしいと思っている。その理由は我らが師匠である太田さんと相談して1週間前に導入したTEZZO LSDの効果に期待しているから。

 思い起こせばサーキットデビューを果たした2年前の仙台ハイランドも雨だった。当時は緊張も加わってコーナリング・ブレーキングともに初めて雪道を走るような状態で、複雑怪奇なラインを描きつつ、とにかく無事に戻れたことだけでホッとして全身から力が抜けていったのを覚えている。あれから2年。太田さんからはライン取り、考えて走ることの大切さ、そしてレーサーとしてのマナー、など多くのことを学ぶことができた。そして今年はTEZZO RACERS CLUBのアンバサダーとして、チームの仲間の見本となることを期待されている。明日は初めてレースを経験する仲間もいるので、タイムはともかく、先輩として恥ずかしくない振る舞いを心掛けなければ。

TEZZO レース当日の朝、小降りになっているがまだ雨は降り続いている。ピット設営などの作業を進め、太田さんのドライビングレクチャーが始まる。今回がレースデビューとなる仲間も含め、コースの一部で川が流れるようなコンディションでの走り方について真剣に聞き入り、コース図にメモを書き込んだ。私自身は昨年の11月にもSUGOを走っているが、前回はドライコンディションながら気温が低かったせいか多くの車がスピンしていたので、今回はウェットな状態での走り方について事前に勉強できるのは本当にありがたい。

 走行会が始まり、恒例のカルガモ走行でラインの確認を行う。太田さんが言っていた通り、ドライの時とは全く違って水の少ない場所を選んだライン取りになっている。一方で太田さんはコース状況の変化に応じてラインも変えていく必要があるとも言っていたので、雨が上がるにしたがって自分でラインを試してみることになりそうだ。

 何周かカルガモ状態で周回した後、親ガモから離れて色々と走り方を変えてみる。路面は非常にスリッピーで、所々でスピンやコースアウトした車が止まっているが、こちらはLSDのおかげでフロントに荷重がかかっている状態であれば旋回ブレーキも立ち上がりも非常にスムースだ。3コーナーや4コーナー以降の登り、馬の背からの立ち上がりや最終コーナー進入ではLSDの効果がハッキリ確認できる。ただし調子に乗りすぎて前後荷重が大きく変化するタイミングでステアしたりするとリアが暴れだす。何度かヒヤッとしたが、周回を重ねるうちにアクセルを開けるタイミングと踏み加減が少しずつ判ってきた。終わってみると走行会での順位は初めての1桁ポジションと、上位クラスのマシンに割って入ることができた。チームの仲間も全員トラブルなくピットに戻ってきている。良かった。

TEZZO 走行会があっという間に終了したら皆で昼食。今回も山田うどんさんから美味しいカレーうどんを頂戴している。皆で車座になってうどんをすすりながらも午前の走りについて反省やら質問が続き、一時の休憩中も皆真剣な顔で太田さんの言葉に聞き入っている。この雰囲気が大好きだ。考えて実践し、また考えて修正する。太田さんが皆に指導しているプロセスは普段仕事の進める場合と全く同じだ。染み付いた習性なのか、太田さんのこのスタイルが自分には良く合っているように感じる。

 午後になり雨は徐々に上がり所々路面が乾き始めているコンディションの中で20分の予選スタート。猛者たちが一斉にコースインしていく。路面状況が刻々と変化するので、まずは現在のウェットでタイムアタックを行い、コースが乾いてきたらその時点でもう一度アタックするという自分なりの戦略を立ててみた。ほとんどの車がコースインした1分経過した頃を見計らって自分もコースイン。コースはまだ川が流れている状態だが、前後に全く車がいない絶好のチャンス! 2周目でタイムアタックを開始。川を避けながら、できるだけコンパクトに向きを変えるよう心掛けて走る。 ここでもLSDは大活躍だ! フルブレーキでリアが落ち着きを失った状態になっても、コーナーでは従来よりも早めにアクセルを開けることができるので荷重移動でリアのスライドを比較的容易にコントロールできる。4コーナーの進入でインに付けなかったが、それ以外では大きなミスもなく1回目のアタック終了。モニターを見ると2’11”ちょっとの表示。午前のフリー走行よりも大幅に短縮しているが、徐々に路面が乾いてきているのでラインを確認しながら様子を見ることにした

TEZZO 2周ほど周回を重ねると路面もだいぶ乾いてきた。予選残り時間が4分の表示を確認し改めてアタック開始。予選開始時に比べるとかなり走り易くなっているが、これは全員に共通のこと。残っている川を避けながら極力ドライコンディション用のラインを走る。数箇所でコースアウトした車が止まっているが、無理は禁物。太田さんが何度も繰り返している通り、リスクと引き換えの速さではなくマシンを労わり確実にゴールまで辿り着くのがレースだ。速さよりもイメージしたラインを走ることに集中するよう心掛け、大好きなSPインから最終コーナーまでのセッションを無難に走りアタック終了。自分では無理をせずに完璧ではないが思ったようなラインで走行できたと思う。ピットに戻ると他のメンバーもクラッシュもなく全員無事に帰還してきた。皆「難しかった」と言いながらも笑顔である。結果はベストラップ2’07”988で順位は総合13位、クラス1位。初めてのクラストップは素直に嬉しい!! グリッドを見ると後ろには3.2Lの車もいる。このままドライになるのか、もう一雨降ってくるのか。できれば雨になってほしい。。。 照る照る坊主を逆さ吊りにでもするか?

 予選終了後、直ぐに2回目の走行会が始まるスケジュールだが、今回は自分の車を使っての太田さんの同乗走行があるので、順番が来るまで3コーナーの観戦スポットから他の参加者達の走りとコース状況の変化を観察することにした。この3コーナーは下りの左コーナーでリアが不安定になり易い場所で、路面はほとんどドライに近い状況にもかかわらず10分程度の間だけでも3台がスピンし、コースアウトは5台を超えていた。4コーナーからの登りも水煙が上がっていないので乾いているようだが、モニターを見るとレインボーコーナーとSPアウトではまだ小さな川が残っているのが見える。このままだと決勝はドライになりそうだ。

 走行会の時間枠が残り10分を切った時点で太田さんの同乗走行の順番が回ってきた。太田さんは私の順番の前に4人のチームメートの車で同乗走行しているのだが、全く疲れた様子も無く慌ただしく準備を整えると直ぐにコースイン。太田さんから「路面状況が刻々と変わるからラインは参考程度に見ておくこと」とのアドバイス。コースはほとんどドライだが、モニターで見ていた通り一部には小川が残っており、太田さんは極力水を避けて通っているように見える。無理せずリスクを減らす走りに徹しているのだが、これでもタイムを見ると速いのだ。今日のコンディションを考えると自分も決勝ではリスクを減らした方が良さそうだ。同乗走行を終えると同時に走行会が終了。このあと直ぐに決勝が始まるのでパドック裏でグリッド順に整列しなければならない。

 整列からスタートまでの時間はいつもながら結構緊張する一時だ。一列に並んで順次コースイン。ゆっくりとコース状況を確認しタイヤを温めながら走りグリッドまで戻ってくる。グリッドに並んでからスタートまでは5分程度だが、とても長く感じる時間だ。自分の周りの車を確認し、1コーナーへの進入イメージを作ってみる。私の前は147GTA、後ろには3LのGTVやチームメートの2.2Lもいる。直線勝負だと抜かれるのは確実だが1,2コーナーのインを取ればバックストレートまではリードできるかもしれない。

 そんなことを考えているうちに赤シグナルが点灯しあっという間に消灯。スタートだ! っと、いきなり出遅れてしまう(泣)。アウトから156とGTVに抜かれ、団子状態で1コーナーへ。イン・イン・インで後続は抑えたものの、先行した2台から離されないように冷静に走らなければ。4コーナーの後の登りでは前車から離されるが、ハイポイントとレインボーの2つのコーナーでは差が縮まる。続くバックストレートでは更に差が開くけど、SPコーナーと最終コーナーでは明らかにこちらの方が速い。テールツーノーズで最終コーナーを立ち上がる。強烈な登りではやはりどんどん差が開く。気が付くとチームメートの156GTAが苦も無く並び、一瞬のうちに抜き去っていく。悔しいがこれはマシンの差、と自分に言い聞かせ、はやる気持ちを抑えて太田さんの同乗走行の時の様にリスクの少ない走りに集中する。路面はほとんどドライになっているが、ストレートでは離されてもコーナーでは確実に差が詰まっている。このまま落ち着いていられればどこかでチャンスがあるかもしれない。

 前を走るGTV3.0と156GTAを追いかけて周回を重ねていくが、完全なドライコンディションになるにつれて差が少しずつ開いていく。去年の第2戦ではここで集中力が途切れて一人旅の状態でコースアウトしてしまったことがあったが今回は冷静だ。後ろを見ると同クラスのチームメートのGTと159の2台が結構激しいバトルを展開しており、2台との差は周回ごとに少しずつ開いている。前の2台に追いつくのは難しそうなのだがクラスではまだトップを走れているので、このまま確実に走ることに集中しよう。ライン取りに集中しながら周回を重ねるうちについにファイナルラップを迎えた。前とも後ろとも5秒以上の差がありそうなので、最後の一周は今回の集大成として特に大切に走ってみる。これでレースが終了するのがもったいない、もっと走り続けたい、そんな気持ちの中でついにチェッカーを受けた。

 もっと走り続けたかったが、今日も快調に駆け抜けてくれた我がGTに感謝の気持ちを込めてペースダウンしピットへ向かう。チームの皆も全員無事完走して戻ってくる。初レースとなったチームメートも3人いたが、皆トラブルなく、レーサーとして、そして大人としてのマナーを持って立派に走っていた。2年前の自分を思い出しながら互いの健闘を称え合う。クラッシュする車も多数あった中でチーム全員が一日を通じて事故無く完走したことは、太田さんの教えが確実に浸透していることの証だと思う。

TEZZO メカニックの皆さんに車を点検して頂いている最中に表彰式が始まった。私がエントリーしたAR150-6は出走台数が3台と少なかったものの、レースを始めて2年目で迎えた初の1位は本当に嬉しかった。今回は家族も応援に来てくれていたので、嫁と息子(8歳)にオヤジの晴れ姿を見せることができて本当に良かった。レース前は本当に真剣にドライビングを考え、無事レースが終わった後は無邪気に喜んでいる姿に息子は何かを感じてくれたのではないか、と思う。

 今日一日でウェット・ハーフウェット・ドライとコンディションが変化したが、それぞれに応じた走りを教えてもらい試すことができ、今日一日だけでも随分自分の走りの引き出しが増えたように思う。このチームで太田さん、そして素晴らしいチームメートと共に走れたことを本当に嬉しく思う。太田さん、メカニックの皆さん、そして事務局の皆さん、本当にありがとうございました。

TEZZO





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