2009年度活動スケジュール







↑TEZZO by Tetsuya Ota



↑太田哲也KEEP ON RACING


2008年7月12日筑波サーキット走行会レポート  

会員No.106 廣畑実
 
車種 アルファGT 2.0



ピヨピヨピヨ。目覚ましの音が鳴る。すぐに目が開き、5分後にまた鳴ってしまう押しボタンではなく、二度と鳴らないスライドボタンを操作する。うん、寝ぼけてない。時刻は朝4時。

さあ、今日はいよいよTezzo Racers Clubの筑波サーキット走行会。ホッケーの今シーズンの結果が5勝5敗となってしまい、プレイオフに行けなかったので、プレイオフ日程と重なった今日の走行会に参加できることになった。

昨日は早目に帰宅。すぐに車庫に行って車に付いたカーナビを操作。6時半に筑波サーキット近くの稲垣メカの工場に集合するのをインプット。さて、カーナビ君がいつものように出発時間を指定する。「4:30出発」。4時起きかよ〜。

11時には就寝。でも、寝られない。サーキット走行の前は、なんでこう、悪いことばかり考えるのか。ついつい、車がクラッシュしちゃったら、なんて考えて寝られなくなる。もっと前向きに考えなきゃ。

仕方なく、数日前に届いた定期購読のゴルフ雑誌を読み始める・・・・・・・・・・・・。全部読み終わっちゃったよ〜。時刻は12時40分。いかん、寝る!

そこで意識がなくなったらしい。だから、睡眠時間は3時間だ。いつも、サーキット走行の前は寝られなくて、今までのベスト睡眠時間は4月の仙台の2.5時間だから、今日は最高記録だ。

前日に用意しておいた荷物を持って出発!前夜、まだ酒が入っていないときに用意していたのに、もう少しで大事なヘルメットを忘れるところだった。危ない、危ない。

朝4時半過ぎ。当然ながら、道はガラガラ。どこにも渋滞なく、1.5時間で到着した。

1.5時間もあると、考えごともいろいろするもので、今日、持ってきた荷物の点検もした。そこで事件発生。「あ"〜!忘れた〜!レーシングシューズ!!」真っ赤なレースシューズを持ってるのに、今日は忘れてしまった。ゆうべ忘れかけたヘルメットといい、バラバラで置いておくのが悪いのかな。ひとまとめになる大きいバッグを買うか、荷物リストを作っておくか・・・・。そんなことも考えながら運転した。あ〜あ、靴は、仕方ないから、今はいてるスニーカーのままだ。茶色いスニーカーで底も薄いから、違和感はそんなにないだろう。せっかく楽しみにしていた走行会で忘れ物なんて、ざんね〜ん。

稲垣メカの工場。初めて来た。広〜い。レース専用車が置いてあったり、何に使うのか、どう見ても鉄くずとしか思えない乗用車の外装だけが置いてあったり・・・。

太田さんのアルファ159の3.2リッターが四輪ともタイヤをはずされた状態で置いてあった。4月の仙台では2リッターの159を駆った太田さん。今回以降は3.2リッターで行くという。車はまだ開発中。TEZZOクワンタムのサスが取り付けられ、運転席がプロドライブのフルバケットシートに交換されていた以外は、まだ特に手を加えてはいないらしい。なんと、稲垣メカ、バケットシート装着のため、前夜は徹夜だったそうだ・・・・。「太田徹夜」。

程なく、太田さん登場。今日の走行会は、15分を4回。いずれの会も、Tezzo Racers Clubだけの枠らしい。なんて贅沢な。今日の参加は8人。太田さんを入れても9人でサーキットを独占だ。気心の知れた人たちとの走行会なので、互いの気遣いもあるだろうし、やり易そうだ。

そうこうしているうちに、僕の車のタイヤもレース用に用意していたTezzo鍛造アルミホイールとPotenza01Rのタイヤに付け替えられた。Tezzo鍛造アルミホイールは、ガンメタリックでしぶく、ノーマルのシルバーに光るホイールから交換すると、ぐっとひきしまった感じがする。

サーキットへ移動。今日のサーキットは筑波1000。去年の走行会は筑波2000だったので、初めてのコース。準備作業をひととおり完了。車検も受け、特に問題なく、「OK」とゼッケンに書いてもらった。ゼッケン番号67。

暑い。まだ朝9時なのに、準備作業中に汗がしたたる。でも、今日の走行会はたった15分をたった4回。仙台サーキットでは、1時間の走行を2回、さらに、予選があって決勝がある。太田さんは、「きっとお腹いっぱいって感じになるでしょう。」って朝のミーティングで言ってたけど、きっと物足らないに違いない。

結構暑いし、先日のエアコン故障の原因は、サーキット走行中のエアコンの運転にあったらしいので、今回からエアコンは切って走るため、かなりの暑さが予想される。でも、いつもホッケーでは、防具を着こんで20分プレイを2回。運転よりももっとハードに運動して、終わると本当に、Tシャツにたまった汗が簡単に搾れるぐらいに汗が出るから、それに比べりゃ大したことないさ、と高をくくっていた。

それらが大間違いだったとは、サーキット走行を甘く見ていたその時の僕には、知る由もなかった。

今回のサーキット走行会は、「DES スピードカップ」というサーキット走行大会に一枠、Tezzo Racers Club用の走行時間を作っていただいたものだ。

主催者のドライバーズミーティングにも参加。レースクイーンはいない。ちぇっ。って期待する方がおかしい。

ドライバーズミーティング後、自動車に戻る。車載カメラをセットしようとしたが、走行会の1本目までの時間がなく、あきらめた。

1本目の走行では、太田さんが8人のメンバーを引き連れて走る「カルガモ走行」。8台もカルガモしていると、太田さんの直後でラインの研究がじっくりできる人と、一番後でメンバーの走行で乱れまくったラインをトレースしかない人とで不公平が出てしまうので、太田さんの提案で、一周終わるごとに、太田さんの直後についていた車が、直線で列の一番後に回ることにした。

結構みんな、秩序正しく後にまわっていく。

ついに僕が太田さんの後に付く順番だ。ヘアピンカーブを回った次のコーナーは、仙台サーキットの2コーナーによく似ている。最終コーナーは太田さん、ノーブレーキで曲がっていった。ついていくのは結構辛い。

一本目が終わった。暑くて汗が噴出しているが、全然へっちゃら。なんてったって、ホッケーで鍛えてるもん。

すぐに、冷房の効いた会議室に集合して、講習会。

太田さん曰く、「今日のサーキットは、安全性が高いので、上級者の人は思い切っていろいろ試して欲しい。」

太田さん、もう何度かサーキット走行を経験している僕達のことを「上級者」って言葉を使っていたが、全然「上級」の腕前ではないので、おしりが随分かゆかった。

さあ、次は、めいめいで走る二本目だ。車載カメラをセットして、サーキットに飛び出していく。今回は、積極的に左足ブレーキを使ってみた。そして、目一杯ブレーキを踏んだ状態から、フェザータッチの状態へ戻す練習。特にヘアピンカーブで何度も何度も練習した。

恐さはほとんどなかった。初めてサーキットを走る人も何人かいたが、そういう人は気を遣って抜かせてくれるので、抜けるところで抜いて、自分の運転に専念できた。

途中、鼻水がどんどんたれて、口に入ってくる。「あれ〜、風邪ひいたかな。」

鼻をすすってもたれてくる。そう。鼻水じゃないんだ。汗だった。汗がマスクの中を流れて口にたれてくるのだった。かなり暑かった。でも、かなりの集中度だったので、暑さを感じずに走っていた。

二本目が終了した。

次は、太田さんの同乗走行。4月の仙台でも経験したが、太田さんが、僕の車に乗ってくれ、運転してくれるのだった。「自分の車は性能が悪くて」なんて、言い訳が一切効かなくなる。太田さんの運転がどれだけ僕の車の性能を引き出してくれるのか、楽しみだった。

ピット脇に車を停め、太田さんが前の車の運転を終えるのをじっと待った。来た。太田さんだ。太田さんが席に乗り込む。ドキドキした。

違う!ラインが違う。1コーナー、2コーナーではラインが全く違っていた。そしてヘアピン。車が吸い付くようにクリッピングポイントにぴたりとつける。そして加速。速い!コーナースピードが僕の「おっとっと」と太田さんの「ギュリギュリ」では全く違っている。

太田さんは3周してくれた。いや〜、満足、満足。

5人分の同乗走行を終え、昼の休憩時間に入った。太田さん、汗にまみれた顔で、でも、にこやかに「いや〜。」と、同乗走行を終えた安堵なのか、疲れた体に一服入れる声なのか、いすにどっかりと座った。

太田さん、サーキット走行の一週間前からは、体力増強のために、「カーボハイドレート」をするのだ、と教えてくれた。炭水化物を積極的に取って、エネルギーを体にたくわえていく。そう言えば、昔、知り合いのアメリカンフットボールの選手が、そんなことをしていたっけ。

そろそろお腹もすいてきた。主催者が用意してくれた弁当をぱくつく。メニューは、ハンバーグ、コロッケなど。さっき聞いたカーボハイドレートなど、どっかに行ってしまっている。たんぱく質と脂肪分のかたまりだ。そうそう。ご飯は全部食べた。カーボハイドレートでエネルギーに換えるためだ。へへん。少しは実践してるもんね。

汗がほとばしる暑い気温で、15分走行するたびに500ミリリットルのスポーツドリンクが空になった。

さあ、お昼の休憩も終え、午後の走行会だ。太田さんの提案で、太田さんが主催者と交渉してくれて、4本目の走行会はグリッドスタートのレース形式でやることになった。

結構、暑くて体は疲れていたが、うきうきしていた。そのとき僕は、これから来る辛い辛い15分間を予想もできずにいたのだった。

今回のコースは筑波1000。直線という直線はほとんどなく、ほとんど2速で走り続け、たまに3速に入れたかと思うとすぐに2速にシフトダウン、コーナーに突っ込む、というコースだから、結構、気は抜けないし、体力を使った。

運転中は、運転に夢中になっているので、体力をいかに消耗しているかは、まったく実感できないのだが、走行を終えてパドックに戻ってヘルメットを脱いだとたんに噴出す汗。カラカラに乾いた喉、全身のだるさに、体力消耗を実感せざるを得なかった。

今より、もっと若い頃、アメリカンフットボールをやっていたことがある。練習の日の朝、寝坊してしまい、練習に遅れそうになったので、ご飯も食べずに家を出て、そのまま練習に参加した。「セット」のクォーターバックの指示に、いつものポジション、おすもうさんが取り組みで両手を地面に降ろした格好、を取ったら、お腹がすいて、頭がくらくらした。貧血だ。当然、ぶつかり合っても力が入るわけはなく、そのまま仰向けに倒れた。つらい練習だった。

その時以来、どんな場合であってもスポーツをする前には必ず腹ごしらえをするようになった。

今回もそうだった。腹ごしらえ。お腹がすいたら、ちゃんとものを入れて、かつ、できるだけ、食べてから休憩の時間を取る。

今回の休憩時間は約30分。1時間は欲しいところだが、まあ大丈夫だろう。これで、走行中に貧血に襲われることもない。

休憩後、3本目の15分走行だった。太田さんの同乗走行で習ったラインやアクセルオン、ブレーキングのタイミングを真似して、自分の運転に取り入れるため、張り切っていた。

さあ、出発だ。係員の指示に従って、8人のTezzo Racers Clubの面々プラス太田さんがコースイン。

アクセルは最初から全開だ。う〜ん、やっぱりうまくいかない。どうしても1コーナーでクリッピングポイントにつけない。僕は、ハンドルを叩いてくやしがった。

さあ、気を取り直して2周目だ。今度こそうまくやるぞ!ブレーキ、駄目だ、クリッピングポイントが遠い。3速に入れ、あっという間に減速、ヘアピンだ。このヘアピンもうまく回らなきゃ。思いっきり減速する。

その時だった。四点式シートベルトに締め上げられた僕の胃から、こみ上げてくるものがあった。

「ケプッ」幸い、固体でも液体でもなく、気体だった。お昼に食べたハンバーグの味がする。香りがする。

おろろ・・・。胸がむかついた。それでもなんとか周回する・・・・。辛い・・・・。

次の周回に入った。相変わらず、クリッピングポイントから遠い。またヘアピンだ。ケプッ。気体だ。今度はコロッケか・・・。

おろろ・・・。走行に支障ないぐらい集中はできるものの、胸のむかむかはおさまらなかった。

そんな風にして、牛になったかのごとく、お昼に食べたお弁当のおかずのひとつひとつの香りを味わいながら、長い長い15分が過ぎていった。固体や液体でなかったことが唯一の救いだった。

チェッカーフラッグが振られた。良かった。終わった・・・。

パドックに向かう入り口に入った瞬間、お腹にドンと乗って締め上げてくれた四点式シートベルトのバックルのリリースレバーをひねる。ワンタッチリリースがこのとき以上に便利だと思ったことはない。

ヘルメットのチンストラップをはずす。はずれるまでがもどかしかった。そして、ピットに車を入れる。ドアを開け、ヘルメットとマスク、グローブをはずす。全ての動作がもどかしかった。

そして深呼吸。スポーツドリンク500ミリリットルを一気に飲み干す。

「どえ〜っ」安堵の声とともに座り込んだ。胸のむかむかは収まらない。体の元気は一気にしぼんだ。

そんな僕には目もくれず、太田さんは、残り3人の同乗走行を開始。それどころか、まだ時間がある、ということでメカニック3人も順番に同乗走行に連れて行っていた。

この人は、怪物だ。なんだ、この体力。

太田さん、お昼ご飯はほとんど食べていなかったらしい。そればかりのせいではないのは確実だが、僕は、僕の体力のなさと、お弁当をペロリとたいらげた自分を呪った。ホッケーで鍛えているはずなのに・・・・・。

次は、最後の走行だ。あと15分。今度はグリッドスタートのレース形式。太田さんは、最後尾からのスタート。

元気だったら、わくわくしていたに違いない。でも、僕はぐったりだった。とにかく休憩したかった。太田さん曰く、「スタートを経験して欲しいので、2〜3周終わったら帰ってきていいよ。最後まで走ってもいいけどね。」

一周で走って帰って来ようかと思ったぐらいだった。

最後の走行の時間が近づいてくる。僕は、その後、レースがやっぱり大好きなんだ、と実感することになる。

3本目の15分走行で、お昼に食べた弁当の香りをもう一度味わいつくし、ヘロヘロになって座り込んでいた僕であったが、スポーツドリンク効果か、少しずつ、回復しつつあった。胸のムカムカももうなくなっていた。

太田さんがグリッドスタートの順番を発表する。3本目の走行会のタイム順で並ぶことになった。太田さんは最後尾に付ける。

アルファ156GTAがポールポジション、BMW130iが2位、伊藤さんのGT2.0が3位、僕のGTが4位、その後に4台プラス太田さんの159 3.2。

伊藤さんのGTは僕と全く同じ車。今回、伊藤さんは、僕が装備したのと同じTezzoのマフラー を装着し、ぐっとトルクがあがっている。僕のGTの方が、エアクリーナー やスプリントブースター を装備しているために加速では上回っているものの、筑波1000のコースは、直線がほとんどなく、コーナーばかりで、3速に入れてもすぐに2速に落としてコーナーリングといった具合であるため、伊藤さんとほとんど変わらないタイムだった。むしろ、コンマ04秒といった微妙な差ではあったが、伊藤さんの方が速かった。コーナーリングの腕の違いだ。

となると、僕のターゲットは伊藤さんしかいない。アルファ156GTAやBMW130とは、エンジン排気量があまりに違いすぎるので、とてもではないが追いつけない。

伊藤さんとは、接戦が予想されるため、スタートダッシュで一気に追い抜くしかないだろうと思っていた。幸い、スターティンググリッドは、車体1台分弱ぐらいしか差がないから、スタートシグナルでの勝負だと思った。(ちなみに、伊藤さんがここまで燃えていたかどうか、あまりに温厚な性格のため、聞くのも恥ずかしかったので聞いていない。大人だな〜、伊藤さん。)

さあ、出発だ。

あんなに疲れていたはずなのに、グリッドスタートのレースができる嬉しさに夢中で、疲れていたことなんて、けろりと忘れている。パドック裏に順番に並んで、コースに入るのを待つ。

係員の指示で、順番にコースに入る。

まずは、一周、ゆっくりと、隊列を組んで走り、スターティンググリッドを目指す。最終コーナーをまわり、いよいよグリッドへ付ける。メカニックの方々がグリッドへ誘導する。ありがとう。こんなことまでやっていただいて。

ポールポジションの156GTAは、イン側のグリッドへ。続いてアウト側にBMW130i。伊藤さんは従って僕の右。一台分弱前のグリッド位置。僕もグリッドについた。

僕の前にはBMW130i。全台がグリッドにつくまでちょっと時間があったので、色々と考えた。シグナルの赤が点き、消えたらスタートだ、と聞いた。まっすぐスタートするべきか。もし、前のBMW130iがもたついたら、右に出るか、左に出るか。当然、伊藤さんは、1コーナーを目指して左に寄るはずだから、右に出ると危ないか。でも、僕が左に出てしまうとコーナーからあまりに遠い。やっぱり右か。

いろいろ考えたけれど、結論は出ない。そんなことをしているうちに、5秒前のサイン。そして、赤色のシグナル点灯!消えた!!!!アクセルを踏む!!やべ、一気に踏みすぎた!ホイールスピンしてる!いいや、このまま踏み続けろ!!156GTAが出遅れた。BMWがするするっと前に出る。しめた!このまままっすぐだ!伊藤さんは?ゆっくりと、でも確実に加速している。あ、でも加速はこちらの方がいいぞ。右目の端に見えていた伊藤さんの紺色の車体が、視界からだんだん後に消えていく。しめた!156GTAが僕より加速してアウトに寄った。その後に続く。伊藤さんはイン側だが僕の方が車1台分前だ。

1コーナー!曲がる!伊藤さんより前に出た!やった!156GTAに次のヘアピンで迫る!でも、ああ、立ち上がりで、さようなら、もう、車1台分ぐらいの差がついてしまった。

その後はもう、常にルームミラーに伊藤さんの紺色GTを従え、時々オーバーステアを出しながらも、なんとかなんとか追いつかれずに走行した。

3周目のヘアピンを終えた時だったろうか、伊藤さんの後に、出た!赤い彗星!太田さんの駆る赤い159だった。次のコーナーで伊藤さんを抜いた赤い彗星が僕の車の後に迫った。

なぜか、春の仙台や、去年の冬の筑波サーキットで味わった、「赤い彗星が量産型モビルスーツを追い掛け回す」恐怖をこのときは感じなかった。それよりも、むしろ、いかにミスせず、抜かれないか、必死だった。ハンドルにしがみついた。次のコーナー、太田さんにならったクリッピングポイントを通過。よし!最終コーナー、ちょこんとブレーキを踏んで向きを変える。タイヤが鳴る!直線に入った。太田さんがインを刺して、あっさり、抜いていった。

コーナーで言うと、たった2つのコーナーを競っただけだった。競うだけ無駄で、どうせ負けるのだけれど、そうはわかっていても、頑張った。なんとか抜かれまいと、初めてそう思った。

その後は、とにかく、とにかく、伊藤さんに抜かれまいと、各コーナーミスをせぬよう、頑張った。でも、やっぱりミスしてオーバーステア。車が立ち上がり加速しない。抜かれるか、と思ったら、なんとか抜かれずに済んだ。

そんなこんなで緊張しまくって、周回を重ねた。もう、何週回ったかわからない。とにかく必死だった。

そして、何周目かの最終コーナー立ち上がり、チェッカーフラッグ!!

どぇ〜っと安堵のため息。終わった〜・・・・・・・・。

太田さんが「スタートして、2〜3周でパドックに帰ってきてもいいよ。」と言ったにもかかわらず、途中でマシントラブルに見舞われた156GTA以外はみんな完走。

だから、僕は、太田さんを除けばBMWに次ぐ2位になった。はっはっは。お山の大将・・・。副将か・・・。

後片付けを終え、着替えて、冷房の効いた教室に集合。

太田さん、「いや〜、面白かったよ〜。伊藤さんも、廣畑さんもうまくなったよね。今回なかなか抜けなかったもんね〜。」

満面の笑み。本当に、この怪物は、優しい人だ。「よくわかったよ〜。二人とも、抜かせてくれないんだよね。はっはっは。」

いろいろと質問して、太田さんが答えてくれる質疑応答。これでまた、賢くなった。でも、わかっちゃいるけど実践できないのよね。

太田さん、また、笑いながら、「だから、そう簡単にできてもらっちゃ、僕が困っちゃうんだよね〜。」

あんなに疲れていたのに、レースとなると、本当に無我夢中だった。かなり集中していた。楽しかった。面白かった。この歳で、こんなに夢中になれるなんて。

来月、8月3日は仙台だ。なんとか頑張って、いい成績を残したい。でも、同時に、事故なく安全に楽しみたい。

こんな体験ができるなんて、僕はラッキーだ。こんな機会を与え続けてくれている、太田さんに感謝。広報隠岐さんはじめ、Tezzoのスタッフの方に感謝。そして、信頼できる車にしてくれる稲垣メカはじめ、メカニックの方に感謝だ。そして、こんなラッキーな体験を僕だけ独り占めしてはあまりにもったいないので、この文章を読んでくださっている方に、疑似体験をしていただきたいので、なるべく、感じたままそのままに文章に落とし込もうとしている。百聞は一見にしかず、と言うから、なかなかうまくは表現できないけれど、少しでも、モータースポーツを身近に感じて頂けたら、僕の文章を通じて楽しんでいただけたら、興味を持っていただけたら、僕は本望。

最後に、レース後の車輌整備の時、稲垣メカから、さらに車を速くする技を伝授してもらった。その技の開花は、8月で少しだけ、秋のレースにはかなり期待できそうだ。その技は、ここではチョッと秘密。ごめんなさい。メカニックらしいアドバイスだった。

来月のレース、今から楽しみ!



 








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