2009年度活動スケジュール







↑TEZZO by Tetsuya Ota



↑太田哲也KEEP ON RACING


TEZZO RACERS CLUBレポート

2007年12月9日 TEZZOドライビング講習会

12月9日

会員No.106 廣畑 実

アルファGT



プロローグ

「ピー、ピー、ピー」突然のけたたましいアルファGTの警報音に何が起こったかと眠い目が一瞬で覚めた。「道路凍結注意」。外気温3度。時刻は朝5:30。朝6時の集合に遅れないよう、初めての筑波サーキットに向かう途中だった。

今日は、12月9日、ポテンザ・エキサイティング・ステージ。太田さん率いるTEZZO RACERS CLUBは20分ずつ3回の走行会の枠をもらい、それぞれの前後には、太田さんからのレクチャーを受けられるという、なんて贅沢な一日。TEZZOのマフラーに交換し、同じくTEZZOのレイアウトサスキットを装着したアルファGTは、加速が良くなり、カーブでもロールが相当抑えられており、TEZZOパーツ装着後初のサーキット走行に期待が高まるばかりだった。

TEZZOのレイアウトサスキットのおかげで、普段の乗り心地は良くなった。ポテンザRE050にタイヤを交換して以来、接地性が良くなったというべきか、道路にペッタリと張り付いたように走ってくれる安心感がある一方、微妙な道路上の凸凹を全て拾ってドライバーに伝えてくれるおせっかいが、一方で、乗り心地には微妙な悪影響を与えていたが、レイアウトサスキットの装着後は、そんな微妙な凸凹を吸収してくれて、乗り心地は快適になった。その一方で、フワフワした柔らかな感じはなく、運転に不安感は全くない。それどころか、カーブや車線変更での車体の横方向ロールが相当に抑えられたために、助手席専門の妻は、「車酔いしなくなった。」と喜んでいる。

交換したTEZZOのマフラーは、アルファGTの立ち上がりの加速に絶大な変化をもたらした。ノーマルのアルファGTも決して加速の悪い車ではなく、スポーツカーらしい走りを見せるのだが、レースになると、車体の軽い147やチューンされた車には、置いてけぼりにされてしまう。タコメーターが上がっていくスピードを見るのが楽しくなった。あまりのたちあがりの良さに、それまで2速まで落としていた交差点で、3速に入ったままでいることを気がつかずに曲がり、フロントインディケーターで、ようやく3速のままで曲がっていたことに気がついたりもした。ただ、レイアウトサスキットとは違って、マフラーの方は、同乗者にはその良さが伝わらないようだ。妻は、多少大きくなってしまった排気音を聞いて、「やだ〜、走り屋さんみたい。」と言い放った。僕自身、マンションの駐車場でエンジンをかける時、「ブォボボン!」という始動音にドキッとして、思わず周囲を見回して誰か聞いていなかったかと気を遣ったりもしたが、人間慣れとは怖いもので、今では殆ど気にならない。


走行会

6時少し前に、筑波サーキットの駐車場に到着した。太田さんやメカニックの方は到着済。いったいみなさん何時起き?

ブリーフィングの後、準備にとりかかる。ヘッドライトやテールランプにビニールテープを張るが、手がかじかむ。手袋を積んでいたのを思い出した。ラッキ〜。

あらかじめ太田さんに言われていたが、まさに分刻みのスケジュール。すべての作業をテキパキ時間通りにこなしていかないと間に合わない。

太田さんによる一回目の講義の後、一回目の走行会。カルガモ走行で走った後、思い思いに走行するが、20分の走行会はあっという間に終わってしまう。4周走ったうち、ベストラップは1分25秒340だった。太田さんは、「(ちゃんと走っていないんだから)全然参考にならないよ。」と言っていた。そりゃそうだ。本番は二回目の走行会からだ。

さて、いよいよ二回目の走行会。本気走りだ。一言で感想を言うなら、「楽しかった」。

仙台サーキットのコーナーでは、レイアウトサスキット装着前で、車の挙動(ロール)に驚愕し、恐怖した。恐怖心と戦ってはこれに打ち勝つ根性を持つことこそが速く走るための必要条件なんだと思っていた。

ところが、レイアウトサスキットの装着後の今回の筑波サーキットでは、車のロールが明らかに抑えられているために、恐怖心が小さくなった。仙台サーキットで鍛えた根性はそのまま持ち込んでいるから、その分、余裕ができ、冷静になって「攻める」ことができた。

僕は学生時代からスキーが大好きで、最近こそ、行く機会が減ってしまったが、それでも毎年最低一回はスキーに行っている。学生時代からやっているので、途中、フィリピンやインドネシアといった雪のない国に住んでスキーができなかった年はブランクだが、足掛け20年以上やっていることになる。

ここ何年かは、コブ斜面に挑戦している。コブ斜面は恐怖だ。急ではあっても整地された斜面であれば自在にスキーを操ることはできるが、コブ斜面だと、自分の姿勢を保つことができず、姿勢を崩され、コブの一つ一つに翻弄され、飛ばされ、スキーを回したいところに溝があってスキーが回らず、コブの頂上からコブとコブの間の溝にドンと落ちた瞬間は大変な痛みを伴う。だから、コブ斜面の制覇のためには、恐怖と痛みに打ち勝つ根性が必要なのだと思っていた。コブ斜面と戦う根性が必要だと思っていた。

ところが、3年前、スキー場で思い切って大枚を支払い、個人レッスンを受けてコブ斜面の滑り方、コブ斜面でのスキー操作の仕方を習った後は、コブ斜面の中でいかに自分の姿勢を保って滑ることができるようになるかがわかったので、恐怖感が消え去り、溝に落ちるのではなく、溝に滑り下りることができるようになったので痛みも伴わなくなった。コブを滑るのに、「克服してやる」という根性が不要になった。そして、その根性を、「いかにうまくスキーを操作して滑るか」に向けることができるようになったので、コブ斜面が「戦う場」ではなく、「楽しむ場」になった。

今回の筑波サーキットでは、全く同じ感覚だった。コーナーが「戦う場」でなくなり、「楽しむ場」に変わりつつあった。とは言っても、オーバースピードでコーナーに飛び込む勇気は必要だし、本当に曲がれるのか、コーナーを曲がれずにバリアに突っ込むのではないか、という恐怖とは戦わざるを得ないが、車の挙動に恐怖する必要がなくなり、自分の姿勢を保ったまま、コーナーを冷静に「読む」ことができるようになったので、恐怖の大きさは半分になり、その分、コーナリングに集中することができるようになった。

マフラーの威力も絶大だった。それまでのノーマルのマフラーでは、立ち上がりが遅く、コーナーを曲がる度に、スピードに乗れないことが、もどかしくて仕方がなかった。新マフラーは、アクセルワークに対する素直なレスポンスを感じる。太田さんが、アクセルワークはラチェットハンドルのトルクレンチのように「ガキッ、ガキッ、ガキッ」と段階的に踏むように、と言っていたが、走行中は全く覚えていなかったと、今にして思う。次はやってみよう。とは言え、新マフラーは、僕からイライラ感を取り去ってくれたので、心理的な余裕ができたのだろう。ふと、各々のシフトアップのタイミングが、最高回転域ではなく、そのちょっと手前の早め早めになってしまっているのに気が付いた。気が付いたのは良いけれども、なかなか修正がきかなかったが、少なくとも、気が付くことはできた。「無知の知」だ。まあいいや。

二回目の走行会が終わり、リザルトが出た。1分19秒206。あり?あんまり速くなってないぞ。自分では相当速くなったつもりだったが、TEZZOの他のメンバーはもっと速い。正直、めげた・・・。意気消沈しながら、昼食を取る。

昼食を取った後は太田さんによる二回目の講義。ダンロップコーナーを除いてはクリッピングポイントをかなり奥に取ること、ダンロップコーナーのクリッピングポイントは、カーブの真ん中であること、各コーナーではブレーキングによる前方荷重を利用して前輪のグリップを増し、一方で後方荷重が少なくなり、後輪のグリップの減少を利用して車の向きを変えること、そのためには、直線でブレーキングを終わらせるのでなく、ある程度のオーバースピードでコーナーに入り、コーナー途中でもブレーキを踏み続けること、コーナー途中のブレーキは、直線のブレーキよりも5分の1や10分の1程度に減らすこと等、前に座学で習ったことを筑波サーキットの各コーナーに合わせた実践編を勉強した。また、筑波サーキットの各コーナーの形状の特徴から、「アウトインアウト」よりも、「インインアウト」くらいの気持ちで、早めにイン側にへばり付く走りが良いということも習った。また、ダンロップコーナーと最終コーナーは、殆どノーブレーキで行けるのではないか、とも言われた。う〜ん、いくら恐怖感が半分になったとは言え、それはかなりむつかしい・・・・。

午後、太田さんの車に同乗走行。午前中の同乗走行の組は、GT2.0だったが、我々午後の組はGT3.2だった。「あっ」という間に2周が終わり、はっきり言って記憶に残らなかった。今度は車載カメラを使ってもらおうか。それにしても、太田さんは今日は走りっぱなしだ。体力もすごいね。


さて、いよいよ三回目、本日最後の走行会だった。「頑張る」!ただ、それだけだった。気合を入れ、走る。コーナーが迫る。左足でブレーキを踏む!いかん!踏み過ぎだ。車が止まっちゃう!アクセルだ、あ、アンダーだ、アクセルを戻す、反射的に左足がブレーキを踏む、もうコーナー出口だ、アクセル踏む!こんなことの繰り返しになってしまった。ばたばたやってるな〜。とにかく落ち着きのないドライビングになってしまっている。

数周まわったところで、太田さんが赤い159に乗ってウィンカー出して徐行している。抜いちゃった。太田さんは?赤い159がピタリと後ろに迫っている。赤い159の怒ったようないかついフロントマスクは、連邦軍の弱小モビルスーツの背後にピタリと迫って追い掛け回すシャア大佐専用ザクを連想させる。緊張した。太田さんは僕の走りを観察しようとしているのだろうか。恥ずかしい〜。さっきからバタバタした走りを繰り返しているのを見られてしまう。でも、速く走らねば!!余計バタバタした。遅い車が目の前に現れた。どうやって抜こうかと気をもんで走るうちに、シャア大佐は音もなく僕の左にピタリとつけ、抜き去った。

太田さんが僕の車を軽がると抜いた直後だった。ふと、太田さんの車を見ると、リアウィンドウ越しに太田さんが見えた。左ハンドルの159に乗る太田さんが、右腕を三回、後から前に、大きく振っていた。

「付いて来い。」明らかにそう言ってる。「やった!!ラッキー!」太田さんのマンツーマンレクチャーだ。太田さんの後にピタリと付ける(付けたつもりだった)。太田さんの車のブレーキランプが点灯する。一瞬遅れて僕もブレーキ。太田さんの車の後輪が滑るのが見える。僕の車の後輪が、「ズリッ」と滑る。心地いい滑り。太田さんの車が「インインアウト」を保つのが見える。そして僕の車は太田さんの通ったラインをトレースする。カルガモ走行より随分速いスピードで、太田さんは、それでも丁度僕の最高速度ぐらいに合わせてくれて、僕の車を引っ張ってはラインを、運転方法を教えてくれているのだった。「すげ〜、すげ〜、すげ〜!」太田さんの運転は流れるようにスムーズだった。バタバタ運転の僕とは大違いだ。座学でも太田さん、言ってたっけ。「スムーズな運転が速い運転だ。」

2周ぐらい回ったろうか。太田さんが右ウィンカーを出してピットに入っていく。僕もそれに付いていこうとした瞬間、太田さんの車が左ウィンカーを出す。そうか、「君はもっと走っていいよ。」と言ってくれているんだ、と、勘違いだったのかどうかは、恥ずかしくて聞きもしなかったが、僕は勝手にそう読みとって、残り時間を一人で周回してみることにした。バタバタバタ。一人になったとたん、またバタバタが始まった。がっかり・・・。「も〜!」なんで太田さんみたいにスムーズな運転ができないんだよ〜!

チェッカーフラッグが振られ、走行会の終了を告げた。


エピローグ

三回目の走行会のリザルトが出た。太田さんのマンツーマンレッスン後の最後の周回がベストラップ。1分18秒355だった。やっぱりすごいね、太田さんのレクチャーは。

さて、来週は、富士スピードウェイのアルファロメオチャレンジ統一戦。富士スピードウェイは全く初めてであるにもかかわらず、プラクティスの時間は殆どなく、まともに走れる自信はまったくないが、太田さんも経験だからいいんじゃないか、と言ってくれたので、順位はともかく、「楽しむ」ことにした。さ〜て、どうなることやら。楽しみだ。

こんなにレイアウトサスキットやマフラーのことをここに書いてしまうと、みんなが同じものを装着して、僕より速い車は益々速くなってしまうのではないかと不安だ。

太田さんの講義で印象に残った言葉。「サーキットは、考えることが大事。考えれば考えたほど速くなる。たとえ今日、急に速く走れるようになった人が、そのままのペースで速くなっていくとは限らないし、速く走れなかった人が、考えて考えて、いつか急に速くなるということもあるんだよ。」

その「いつか」が早く来てくれないか、と祈りながら、考えて、走り続けることにしよう。








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