TEZZOモノブロックブレーキキャリパー開発ストーリー〜太田さんインタビュー
そもそもキャリパーの重要性とは何なのか?
太田選手がレースを通じて得たキャリパーの本質を語ります。
太田選手がレースシーンで感じたキャリパーの重要性
−太田さんは、16年間プロのレーシングドライバーとしてキャリアを積んできましたが、そのなかで、とくにキャリパーの重要性を感じていましたか?
太田: それが、キャリパーについてはそんなに考えていなかった。
−どういうことでしょうか?
太田: レースカーには最初から高性能なキャリパーがついているからね。だから、キャリパーの大切さを知ったのはむしろ最近のことなんだ。
2年前、ゴルフGTIカップに参戦するチームを設立し、エントラントして参戦した。
ゴルフGTIカップはワンメイクレースで、大きな改造が許されていないからブレーキキャリパーもノーマルのものを使うことになっていたんだよね。
−なるほど。そのレースで、ノーマルキャリパーの限界を知ったのでしょうか?
太田: そう。GTIカップカーは、2ピースのキャリパーで、その限界を感じたんだよね。激しいブレーキングで、キャリパーが開いてきてしまう。なかにはワンレースごとにキャリパーを新品に代えている人もいた。さすがにうちのチームはそこまでしなかったけど、
それでもレース毎のオーバーホールは欠かせなかった。
2ピースの欠点を補うモノブロックの耐久性
−2ピースでは、性能の面で劣ってしまうんでしょうか?
太田: 特に耐久性だね。チューニングの世界では、お手軽なF50やF40用量産キャリパーを流用するケースが多いよね。効きに関しては申し分ないだろうと思う。でも耐久性については、やっぱり2ピースでは…。
−そこで、TEZZOではモノブロックを採用したわけですね。
太田: モノブロックが優れているのは、何より耐久性。市販車ではそんなにしょっちゅうブレーキをオーバーホールすることはできない。だからといってブレンボのレース用モノブロックとなれば片側で数十万の値段となる。どうしたものかと考えていたとき、ひょんなことでアメリカの自動車メーカーにOE製品を作っている会社の技術者と出会ったんだ。
すでにモノブロックのキャリパーの試験研究開発を始めていて、共同製作をすることになった。
−実際、モノブロック製のキャリパー試作を159 2.2デモカーに装着して走ってみて、どうでしたか? 太田さんのインプレッションが気になります。
太田: 街中で踏んでみたけど、ノーマルは踏んだ瞬間は効きが甘くて、ずーっと踏んでいった先で効き始める。モノブロックは踏んだ瞬間から効き始めるんだ。
−効き方が違うんですね。
太田: ノーマルでも効くことは効くけど、効き方がモノブロックだとめちゃリニアなんだよね。
それに、耐久性を考えるとモノブロックは一生モノだから。
このTEZZOモノブロック・キャリパーは、その後何度も打ち合わせを重ねて、なんとか安い値段で出せる方法はないかと考えて、ある解決方法が浮かんだとき製品化の目処がついたのだった。
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