2009年度活動スケジュール







↑TEZZO by Tetsuya Ota



↑太田哲也KEEP ON RACING


TEZZO RACERS CLUBレポート

8月3日(日)アルファロメオチャレンジ東北シリーズ第2戦 in 仙台ハイランド

会員No,106 廣畑実 車種 アルファGT 2.0

参加内容 走行会&アルファロメオチャレンジAR150-6





今回のアルファロメオチャレンジ、いつものように、仙台サーキット開催だったが、4月に参加した第1回アルファロメオチャレンジ東北のように前日に神戸の結婚式に出席して夜中に東京を出るというハードスケジュールでもなければ、去年のように、時差ぼけに悩まされていることもなく、ごくごく、自然体で臨める日程だった。

土曜日、8時に起床。ワイシャツをクリーニングに出しにいったり、風呂掃除したり、という週末の一連の用事を済ませ、9時半に仙台に向けて出発。夕方前には仙台に到着。仙台サーキットで太田さんの車を調整している稲垣メカに合流し、薄くなってしまった前輪のブレーキパッドと、どす黒く汚れてしまったエンジンオイルを交換してもらう。

今日の宿は、前回に続き、仙台市内のビジネスホテルを取った。前回は、睡眠時間わずか2.5時間だったが、深い眠りを提供してくれたこのビジネスホテルに味をしめ、今回も同じホテル。僕、こう見えても結構神経質なので、冷蔵庫の音や時計の音でも寝られなかったりする。ましてや、隣や上の階の排水の音がした日には、睡眠とはお別れをしなければならない。このホテル、前回はそういった心配がなく、ぐっすり眠れたので、かなり信頼している。

晩ご飯は、知り合いに紹介してもらった牛タン屋。うまかった。牛タンはやわらかく、漬け物を牛タンで巻いて食べる食べ方や、しっぽ、「辛み」を頂いた。酒は焼酎。う〜ん、満足。

ホテルに帰ってテレビを見ていたら、どんどん眠気が襲ってくる。11時に就寝。起床は5時半。このまま寝られれば、6時間半も寝ることになる。

途中、2回ほど目が覚め、その度に頭上にあるデジタル時計の時刻を見て、まだ寝られる、と安心して寝た。ぐっすり、本当に、6時間半寝た。今回は、余裕だ!

こんな余裕が、僕を油断させることになるなんて、このときは想像だにしなかった。

身支度を済ませ、サーキットに向けて出発。途中、スポーツドリンク2リットルとロックアイス一袋を買う。ここまでは、完璧だ!先月の筑波の時のようにシューズも忘れてはいない。完璧すぎて怖いぐらいだった。

集合時間の7時丁度にサーキットに到着。今日のTezzo Racers Clubの参加者は9人。全員が午前、午後に1時間ずつ設けられている走行会に参加し、9人中5人がアルファロメオチャレンジに参戦する。5人の中で、僕のGTと同じ、AR150-6というクラスに参加するのは、中村弥太郎さんと伊藤さんの2人だけ。それにチーム外の人が1人加わって合計4人だ。前回は6人で戦ったが、今回は4人。ちょっと物足りない気もした。チーム外の人、とは、前回の決勝で太田さんの車の後にピタリと張り付いて、想定外のマンツーマンレッスンを受けた水色156だ。

Clubのメンバーと談笑しつつ、テキパキと準備作業をこなしていく。もう、慣れたものだ。でも、車に積んでいる不要品、って多いのね。仙台と言えど、最高気温は30℃の予想。朝から日光サンサンで、準備をしながら額から汗がどんどん流れ落ちてくる。

一通り準備が終わった頃、太田さんから集合の合図。みんなで太田さんを囲んで、太田さんのレクチャーを受ける。太田さん曰く、「今日は、暑いので、タイムは2〜3秒落ちます。それは気にしないで。」

この人、なんでこう、先に先にすべてを予言してしまうのだろうか。この人は、ノストラダムスか?ノストラダムス太田。今思えば、この太田さんの言葉は、後で僕の救いになった。

レクチャー後、ドライバーズミーティング。ピットの速度制限、旗の意味合い等、安全上大切な事項の説明だ。

今回は、レースクイーンは・・・・・・・・いないや・・・・・・。ちぇっ・・・・。レースクイーンがいると、いっぱしのドライバーになった気分になるし、表彰台の記念撮影が本当に記念になる。でも、前回に引き続きいないや・・・・・。昨年必ずいたレースクイーンがくせになり、アルファロメオチャレンジにはレースクイーンがいるものと思ってしまっている。バカバカ。僕のバカ。期待し過ぎだっちゅ〜の。

時刻は10時。太陽がどんどん上にあがっていき、気温もどんどん上に上がって来た。へっへっへ〜。今日の僕は先月の筑波サーキットで暑さにやられてしまった僕とは違う。前回の筑波サーキットでは、あまりの暑さにヘロヘロになったが、今回は、「クールベスト」という力強い味方がいるのだ。この味方のおかげで、一日涼しく過ごせるはず。このクールベスト、背中と胸に2個ずつのポケットが着いており、そのポケットに、冷却剤をいれる単純なしくみ。そんな単純なものなのに1万円近くするが、背に腹は代えられない。冷却剤と言っても、いくら冷凍庫でキンキンに凍らせても、一日冷たいままのわけがないので、インスタントの冷却剤を買って来た。パックをたたいたりして、中の薬剤を混ぜる方式。一回1時間程度しかもたないとのことなので、1回につき4個、走行は全部で4回あるので、4×4で16個持って来た。これだけでも結構な出費ではあるが、気持ち悪くなるよりは随分ましだ。

ドライバーズミーティングも終わり、走行会の開始だ。最初は太田さんが先導して、Clubのメンバーがその後ろについてラインを学ぶカルガモ走行。カルガモ走行は2周の予定。カルガモ走行後はメンバーが二手に分かれ、午前中、太田さんの同乗走行をしてもらう組と、午後にしてもらう組。僕は午後組となったため、カルガモ走行後、自主練習に入る。

カルガモ走行は太田さんが先導するため、太田さんがパドックから出るのに遅れないようにしなければいけない。

レーシングスーツに着替え、クールベストを付ける。冷却剤は初めて使うので、薬剤をもみもみして中の薬を混ぜ合わせるのに少し手間取った。あせる。

車に乗り込み、シートベルトをつける。4点式シートベルトは、とても安全だし、車との一体感も感じるが、着けるのがややこしい。

お????問題が起こった。クールベストでヒンヤリした背中だが、冷却剤分、背中が出っ張っている。シートに背中が密着しないのだ。あれ?仕方なく、そのままぐいぐいシートベルトをしめたが、背中が直立状態になっているため、妙に座高が高くなり、ヘルメットが天井に当たる。おや?これでは、4点式シートベルトが固定する4点だけでなく、頭のてっぺんでも固定されていることになる。違和感あるなあ・・・。

なんとなく直立の姿勢に不思議な違和感を感じながら、カルガモ走行に参加するため、ピットロードに急いだ。5点固定で安全はバッチリだ。え?

クールベストの効果はばっちりだった。ひんやりしてとても心地いい。

ところが、あせって参加したせいで、せっかく仕込んだ車載カメラのスイッチを入れ忘れているのに気がついた。

仕方なくピットに戻り、車載カメラのスイッチを入れた。クールベストの背中の冷却剤のせいでしっくりこない四点式シートベルトももう少し調整しなおす。

ベルトをもう一度締め直してさあ出発。

ふんふんふ〜ん。鼻歌でも出そうな雰囲気だった。昨夜はゆっくり寝て体の調子がすこぶる良い上、クーラーを切った暑いはずの車内でも、クールベストのせいで、ちっとも辛くない。前回の筑波サーキットで結構、良い走りができたので、仙台でその実力を出すときだ、そんな風に余裕しゃくしゃくで臨んでいた。

ところが・・何周回ってもタイムが伸びない。2分30秒。これが精一杯だった。2分33秒と表示されたこともあった。今度こそ、今度こそ、と思ってどんなに周回を続けても、ちっともタイムが伸びない。

だんだん、コントロールタワーを通過してラップタイムを見るのが苦痛になってきた。前回の最高ラップは26秒だったから、4秒も遅い。ひどすぎる・・・・。太田さんは、今日は2?3秒遅くなると言っていたが、僕は4秒。暑さを言い訳にできないことになる。これはおかしい。

何がいけないんだ・・・・。さっぱりわからなかった。

そんなこんなしているうちに、ふと、カメラを見ると、レンズのシャッターが閉まっている。あれ?バッテリー切れ?でも、2時間はもつ長時間バッテリーのはずなのに。これじゃあ、後で研究することもできないじゃん。バッテリー、不良品かなあ。
さあ、自主練習の時間だ。

実は、カルガモ走行の時、あせって参加したせいで、せっかく仕込んだ車載カメラのスイッチを入れ忘れているのに気がついた。

仕方なく、カルガモ走行の体勢のままピットに戻り、車載カメラのスイッチを入れた。クールベストの背中の冷却剤のせいでしっくりこない四点式シートベルトももう少し調整しなおす。

ベルトをもう一度締め直し、さあ出発。

ふんふんふ〜ん。鼻歌でも出そうな雰囲気だった。昨夜はゆっくり寝て体の調子がすこぶる良い上、クーラーを切った暑いはずの社内でも、クールベストのせいで、ちっとも辛くない。

前回の筑波サーキットで結構、良い走りができたので、仙台でその実力を出すときだ、そんな風に余裕しゃくしゃくで臨んだ走行会であった。

ところが・・何周回ってもタイムが伸びない。2分30秒。これが精一杯だった。2分33秒と表示されたこともあった。今度こそ、今度こそ、と思ってどんなに周回を続けても、ちっともタイムが伸びない。
だんだん、コントロールタワーを通過してラップタイムを見るのが苦痛になってきた。4月の最高ラップは26秒だったから、4秒も遅い。ひどすぎる・・・・。

何がいけないんだ・・・・。さっぱりわからなかった。

そんなこんなしているうちに、ふと、カメラを見ると、レンズのシャッターが閉まっている。あれ?バッテリー切れ?でも、2時間はもつ長時間バッテリーのはずなのに。これじゃあ、後で研究することもできないじゃん。バッテリー、不良品かなあ。

失意の午前中の走行会を終えるとすぐに予選の時間だ。

走行タイムは前回の4秒遅れのままだし、何をどうすれば速くなるのか、どこが悪いのかさっぱりわからないままだったので、不安いっぱいで臨んだ。

シートベルトを締め、出発する。

3周ぐらいまわったが、電光掲示板に表示されるタイムは、30秒を切ることがない。それどころか、33秒など、とんでもない数字も表示されていた。周りに車がいないので、自分自身のラインで走れるはずだ。誰も邪魔するものはいない。

喉が渇いた。ピットに戻って水分を補給し、気を取り直してもう一度出直すことにした。ピットレーンに入る。

そこに、太田さんが待っていた。そう言えば、周回していたときも、ホームストレートに太田さんが見えたっけ。

ドアを開けるなり、太田さんが僕に話しかけてくれた。「どう?」

僕は、もう、失意を精一杯声で表現して叫んだ。「おっそ〜いです。どうしようもない。前回までは、コーナー立ち上がりでオーバーステアだったけど、今日は、コーナーの入り口でオーバーステアですよ。オーバースピードなんですかね。」

しゃべりながら、喉がカラカラなのを思い出して、水を取りに行こうと、ヘルメットを脱ごうとした。

「いいよいいよ、脱がなくて。」太田さんは、ヘルメットを脱いでしゃべろうとしたと思ったらしく、制止する。

続いて、「そうか、それじゃあ、ブレーキングをもっと早めに初めて、早めに終わらせたらどうかな。やってみて。」

う〜ん、いいアドバイスだった。もっといろいろしゃべってくれたが覚えていない。ポイントはブレーキングを早めに初めて早めに終わらせる、ということだったと思う。そんなアドバイスを受けているのをさえぎって、水を取りにいくことなんでできない。ちゃんと全部聞きたい。

「わかりました。やってみます。」

僕は、喉の乾きも忘れて、う〜ん、正確に言えば、忘れようとして、車に乗り込み、シートベルトを締めた。

やってみる!

何度か周回を重ね、チェッカーフラッグ。予選終了の合図だった。

結果は・・・・・。最高ラップは2分30秒743。だめだった。

予選出走台数19台中18位。同じGTの伊藤さんは僕より0.4秒速くて17位。水色156は僕より速い17位。

失意の上塗りだった。

失意のまま、昼の休憩に入る。山田うどんさん提供のうどんの味が喉にしみた。

午後は、走行会と決勝だった。決勝の直前の走行会なので、決勝に備えてそんなに周回を重ねるわけにはいかないが、走行会の最初に太田さんの同乗走行。前回の筑波と同様、太田さんが僕の車を運転してくれるのだ。

この同乗走行を挽回のきっかけにしたい。祈るような気持ちだった。

パドックを出て、ピットレーンに入る。ピットレーンに入った順番で同乗走行してもらうことになった。最初が布井さん、2番目が僕、3番目が伊藤さんで、最後が中村弥太郎さんだ。

太田さんが運転する布井さんの車が帰ってきた。太田さんが僕の車に歩いて来て、無言で乗り込んだ。シートベルトを締め、出発だ。ピットレーンから出るときに、助手席側のサイドミラーを太田さんが覗き込むと同時に「ここでミラーを確認して。」と言った。

後ろから迫ってくる車がいないことを確認した太田さんは、1コーナーを回るとすぐに、2コーナーのインにつけ、本格的な同乗走行を開始した。

バックストレートを駆け抜け、シケインに向かう。たぶん、太田さんは、さっきの予選で僕に言った「早めにブレーキングを開始し、早めに終わらせる」というテクニックをわざと見せていたのだと思う。バックスストレートでかなり早めにブレーキを踏み、姿勢が変わったところでアクセル、シケインに直線で突入して行く。その後、僕は、太田さんが各コーナーを何速で走るのか、注目した。いつアクセルを踏み、いつブレーキを踏んで、いつシフトアップするか。いつシフトダウンするか。全神経を集中して、太田さんの走りに注目した。

う〜ん。うなるぐらいスムーズな運転だった。車のパワーを生かしきっている。僕の運転だと、うんうんうなりながら、ようやくエンジン回転があがって行くのに、太田さんの運転では、エンジン回転がどんどんあがる。う〜ん、わからん。どうやってんだ、これ。わからないながら、とにかく、見た。

そして、終わった。ピットレーンに入り、減速、停止。

太田さんが運転席を出て、伊藤さんのGTに乗り込み、出発していった。

ふと気がつくと、僕の目の前には中村弥太郎さんの156が停まっている。お、チャンスじゃん。伊藤さんが終われば、次は中村弥太郎号に太田さんが乗り込んで同乗走行するはず。てことは、このまま待っておけば、太田さんが運転する中村弥太郎号のすぐ後につけて、走行を勉強できるはず。

そして、太田さんが中村弥太郎号に乗り込み、同乗走行を開始した。遅れずに僕も出発。太田さんの同乗走行を一周分、真後で真似をして運転する。

うんうん、さっきの運転のとおりだ。なるほどなるほど。わかった気がした。一周、ず〜っとついていき、太田さんがピットに入ったところを最後に、自主走行に入った。

なんだかわかった気がする。その後は、一生懸命走ったが、せいぜい2周でやめておいた。疲れてしまっては元も子もない。

ピットレーンに入り、パドックに車を戻した。

喉はカラカラに乾いている。2リットル買ったスポーツドリンクがこの時点で殆ど空になった。

さあ、次は、いよいよ決勝だ。挽回してやる!


いよいよ決勝の時間になった。

暑い中、十分水分もとったし、クールダウンもした。体はそんなには疲れていない。

車に乗り込み、パドックの車道にポールポジションから順番に並んで行く。僕の車は後から数えた方が早い。僕の後には、145が一台、その後に太田さんの159。太田さんの159が最後尾ということになる。

太田さんは予選には出なかった。みんなの走りを見て、決勝で後から追い上げてさらにみんなの走りを見る、ということなんだろうか・・・。

パドックを出発し、ピットレーンに入る。今日はレースクイーンがいないから、係員の誘導に従うだけ。あ〜あ、レースクイーンいたら、こんな後の方の車でも手を振って笑顔で見送ってくれるのにな〜。

ピットレーンに一列に並ぶとすぐ、フォーメーションラップに入った。一周、コースを回る。その間、だんだんと胸が高鳴ってきた。

そして、最終コーナーを回り、グリッドに着く。右前が伊藤さんの紺色GT。目の前は布井さんの赤いGTV。そして、斜め前に水色156。なんとか水色156をとらえたい。

エンジンは止めない。サイレンが鳴り、コントロールタワーで残り時間のサインボードが出た。何回か繰り返され、5秒前のサインボード。胸がドキドキドキドキ、ヘルメットをかぶって聞こえにくくなっている耳に聞こえてくるようだった。ドキドキドキドキ。

そして・・・・・あれ?シグナルが赤く点灯・・・・したのかな?え?と思ってもう一度確認しようと思って目を凝らすと、消えた!!え!やべ!スタートじゃん。出遅れた!

あとでビデオを見るとなぜかハンドルを左に切ってる。何やってんだよ〜もう!!

アクセルを踏む。筑波サーキットの模擬レースでは、ここで伊藤さんを抜いた。でも、今回は違う。あれ?追いつけない。こっちもスピードをあげているが、伊藤さんも速い。なにくそ〜!闘志ムンムンで1コーナー直前までアクセルを踏み続けた。

1コーナーは右。2コーナー、3コーナーは大きく左、そして4コーナーは小さく左だ。僕がこのままコース左を走れば、伊藤さんは2コーナー3コーナーでアウトを走らざるを得なくなる。しめた!

2コーナー、3コーナーでインベタを走り、伊藤さんを抜くことができた。さあ、次は水色156、しめた!インが空いている!そのまま突っ込んで!

ぎょ!水色156がインに詰めて来た。やべ!ブレーキ!あ、減速しすぎちゃった。4コーナーを回る。156に置いて行かれる〜!直線だ。アクセルを踏む。3速から4速にシフトアップ。もうすぐシケインだ。

ルームミラーを見る。どゎ〜!!太田さんの赤い彗星がルームミラーいっぱいにうつってる。その瞬間、ブレーキを踏むタイミングを逃した。減速しない!曲がれない!シケインに突っ込んだ!ガタガタガタ!車はシケインをコース通りに曲がりきれず、コースアウトしてショートカットしてしまった。土煙。

太田さんが付いてくる。でも、僕は、目の前の水色156に追いつくことで必死だ。太田さんが速かろうが、抜きたかろうが、もう、知らない!とにかく今は水色156。シケインからコーナー2つ目。アンダーステアを出しながら曲がっている僕を、太田さんがインからスパッと抜いていった。こっちの加速と比べ物にならない加速だった。

それからは、ひたすら水色156を追いかけた。途中、カルガモ走行じゃあないんだから、水色156と同じタイミングでブレーキ踏んだり、ラインをトレースしたりしても追いつけないことに気がついた。でも、でも、向こうがベストラインを走っているとすれば、僕は、そのベストラインより速く走らなければならないことになる。車の性能は殆ど変わらないのに、どうやったらそんなことできるの?

それからは、ただひたすら、追いかけることに専念した。太田さんの運転を真似できるはずもないが、太田さんが、ここは3速と言ったところは、できるだけ3速のままで回った。でも、どうしても2速に落とさなければ立ち上がれないコーナーもあるので、そこは2速にした。早めのブレーキ。早めにブレーキを終わらせる。反芻するように実践した。

でも、でも、最初の周回では、ほとんど手が届きそうだった水色156が、周回を重ねるごとに少しずつ、遠くになってきた。だめだ・・・追いつけない。5周目ぐらいでそう思った。それからは、とにかくベストラインを走ることに専念した。ヘアピン。何度も失敗したが、とにかく、クリッピングポイントを思い出しつつ練習した。

ルームミラーに映る伊藤さんは、だいぶ距離があいているので、少々ミスしたぐらいでは追いつかれる心配はない。

なにくそ〜!っと思いながら頑張った。必死に、くらいついた。スキーでコブ斜面にくらいついてへたくそながらもなんとか降りて行く。失敗するたびに、次こそ、次こそ、と思いながら降りて行く。そんな感じだった。まったく同じだった。

疲れた。喉が渇いた。もう、もう、もういいや。必死になってくらいつきながら、早くレース終わってくれ、チェッカー振ってくれ、と思った。

そして・・・・・・チェッカーだった。

前回同様、クラス3位。1位は中村弥太郎さん、2位は水色156。タイムは、2分28秒。予言者太田の登場だ。太田さんが言ってたっけ。「今日は、2秒は遅くなる。1秒は車、もう1秒はタイヤ。2秒遅くなっても気にしないで。」

当た〜り〜。という感じだった。前回のベストラップは2分26秒だったから2秒落ち。

ほっと胸をなでおろした。前回より速くはなる、タイムを縮めるという目標はかなわなかったが、少なくとも、3ヶ月前のレベルには戻れた。せめてもの救いだった。

決勝後、表彰式まで時間があったので、僕たちは、後片付けをしながら談笑した。

太田さんは笑顔満面。「いや〜、みんな、速くなったよ〜。Tezzo Racers Clubを開いたときは、正直、こんなにみんなが短期間でうまくなるとは思わなかったんだ。」

またまた〜。太田さんはのせ上手。ほめてくれる。優しいな〜。この歳でも、ほめられるとうれしいもんだ。まるで、新入社員が大した仕事していないにに、すごいすごい、って褒められている感じ。

「最後尾からのスタートでしょ。みんな、ちゃんと後を気にしながら走ってるんだけど、それでいて、抜かせないもんね。簡単には。はっはっは。」太田さんから笑顔がこぼれる。

「廣畑さんなんてさ〜、僕が中村弥太郎さんの車で同乗走行した時、後に付いて来たでしょ。さっさと置いて行けるかと思ったら、最後までくっついて来たもんね〜。」

僕が決勝のシケインで失敗してコースアウト、ショートカットした時のことも、

「コースアウトしてしまったときは、あれでいいの。下手にハンドル切らないようにね。まっすぐ。でも、僕の車にフィルム貼っといてよかったよ〜。石つぶてが飛んで来たもんね〜。はっはっは。」なんて、笑って済ませる気の大きさ。それどころか褒めるんだものね〜。

そんな太田さんの優しい言葉攻めになっても、今日の反省点は数知れず。

せっかく、車載カメラをセットしたのに、すべて途中で止まってしまった。原因は、暑さのようだ。前回の筑波も暑かったが、よく考えると、あのときは、走行が終わる度に、カメラを車から降ろしていた。それがカメラのクールダウンにつながったのだろう。残念ながら、バッテリー切れで途中で止まったが。

今回は、ビデオを車に載せっぱなしだった。で、カメラが熱くなってしまって、途中で止まってしまったようだ。最後になるまで気がつかなかった。折角あとで研究しようと思ったのに〜。残念。

最も反省すべきは、精神修養が足りないということ。

前回のアルファロメオチャレンジでは、「抜かれてカッカ来ちゃだめだよ〜。」の太田さんの言葉どおり、抜かれてカッカ来て、自分の走りができなかった。

今回は、自分は速いんだという過信から、慢心へとつながり、あまりにも余裕を持って走ったし、クールベストで快適だったことがそれに輪をかけて、余裕がこぼれ出てハングリーさをなくしていたに違いない。

だから、ひとつひとつのコーナーがおざなりになって、走行会や予選でのタイムが出なかったのだと思う。その証拠に、決勝で、実質的に前回と同じタイム。

テクニックとしては、まだまだかなり改善しなければならない。それはまだまだ時間がかかると思うが、まずは、精神修養からもう一度始めなくては。

サーキット走行は難しいね。余裕持って走ってもいけないし、かと言って、カッカ来て冷静さを失ってもいけない。冷静に、かつ、ハングリーに。

身にしみて感じた3位の表彰台だった。

今年のアルファロメオチャレンジ東北はあと1回。11月開催予定だ。走り慣れて来た仙台サーキットではなく、菅生。太田さんは、コースは短いけれど、高速コーナーが多くてスカっとするコースだと言う。太田さんが好きなコースだそうだ。どんなコースなのか、今から楽しみだ。

今回学んだことを教訓にして、あと3ヶ月。途中、走行会開催の企画もあるらしいので、運転テクニックを磨くこととともに、精神修養を積んで臨みたい。

これが僕の奮闘期。奮闘「記」ではないところに意味がある。今、僕は、サーキット走行という夢の中にいるんだ。その夢の中でいる間が「期」。この夢が続く限り、この夢が覚めるまでは、この夢の中にいる時間を思う存分楽しみたい。この夢が、僕の奮闘期なんだ。


 








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