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プロデューサー太田哲也氏へのインタビュー

- MiTo用のTEZZOオリジナル別タンク式車高調キットはどのようなコンセプトで開発したのですか?

●MiToの車高調を作ろうと思った最初の理由は、速さではなく、実は乗り心地の改善だったんだ。
MiToは17、18インチの大径タイヤが標準装着されていて格好いいんだけど、
サイズの小さいMiToにはいかにもオーバーサイズで、どうしても足がドタドタとしてしまう。
まして、MiToのダウンサス装着車に乗ったとき、車高を下げるとぐっと精悍になり格好よいんだけど、
高速道路の段差でドタドタとした揺れが止まらなくてツラかった。
これを何とかしたいというMiToオーナーの強い依頼もあってMiTo車高調の開発がスタートしたんだ。

- では、純正形状ではなく車高調で開発した狙いはどこにあるのでしょうか?

●MiToだと相当な改善幅が必要だから、純正形状タイプだと無理かなと判断したんだ。
セッティングの自由度が限定されるし、経年変化による車高落ちにも対応しなければならないし、
それを見越した上で俺がイメージする乗り味を確保するのは難しいだろうと。
じゃあ通常の車高調(単筒式(モノチューブ)ダンパー)はどうかなと言うと、それもやっぱり難しいかな。
そう思って別タンを奢ることにしたんだ。
コストの面で悩んだけど、おそらくこれしかないだろうって。(**)

- へえー、別タンク式の高性能を走りの限界性能ではなく乗り心地に使ったんですね?

●そうだね。
MiToに話を戻すと、ドタドタと揺れが収まらないのは、車体サイズと大きくて重い純正ホイールの
組み合わせに対する減衰力の弱さが原因なんだ。
その揺れを収めるには減衰力を相当上げる必要が出てくる。
でも、それで通常の車高調(単筒式(モノチューブ)ダンパー)だと減衰力アップに比例してガス室の圧力も高くなり、
低速走行中にゴツゴツしてきてしまう。(*1)
一方、別タンクだと低圧ガス化が図れるので、減衰力を高めてもゴツゴツしない。
リバウンドも通常より高めるセッティングにして、乗り心地と操縦安定性を高いバランスで実現しようとしたんだ。(*2)

- 乗ってみた感じはいかがでしょうか?

●何種類かの仕様をテストして仕上げてきて、ずいぶんと改善されてきたよ。
ユーザーの人にも試乗してもらったけど、とてもよくなったと喜んでもらえた。
でも、俺としてはあともう少しいけるかなって思ってるんだ。
だからまた仕様を変えてテストしてみようと思ってる。
具体的には車高設定の自由度を上げるため、ダンパーの長さを再調整して、プリロードをもう少し減らして、
そうすればさらに良くなるはずだよ。
あとちょっとだね。

- すると、太田さんが納得するまで、まだ少し時間がかかるのでしょうね。楽しみです。
ありがとうございました。


◆解説◆

*1 単筒式(モノチューブ)ダンパーは、シリンダーの内部にオイルが満たされたオイル室とガスが充填されたガス室に分かれていて、
その間を自由に動くことができるフリーピストンによって仕切られた構造になっています。
ブレーキを踏んでフロントが沈んで前のめりになると、前輪に荷重が移って車高調のスプリングとともにピストンロッドが
縮みながらオイルを押し下げ、そのときフリーピストンはオイルの圧力に負けてガス室を圧縮させます
(アクセルを踏んで加速する場合もリヤダンパーで同様の現象が起きます)。
ガス室の圧縮が高いと荷重を効果的に吸収できずピストンロッドを跳ね返してしまいます。
つまり、ガス室の圧力に比例して乗り心地も硬くなってしまうのです。
また、荒れた路面やコーナーで跳ねやすくなってしまいます。

*2 ガス室の圧力が高いほど、比例して乗り心地もゴツゴツしてしまいます。
減衰力をあげると、高圧のガスを完全にシールするフリーピストンや減衰力を生み出すピストンバルブに掛かるフリクションも
大きくなって乗り心地に悪影響を与えます。
それを改善するため、TEZZOは車高調は低圧ガス化するため別タンク式を採用しています。
別タンクとのジョイント部が流速を規制するバルブの役目を果たすので、減衰力を高められ、ガス室の圧力を低く設定できます。
低圧ガス化できればフリクションを抑えてしなやかに動くダンパーに仕上げることもできるし、ピストンが大きく動いても、
ピストンバルブの同軸上にフリーピストンとガス室がなくストロークが確保できるので、底着きしないメリットもあります。
同時に、ガス室の容積と油量が増やせて、キャビテーションを抑える効果もあります。
つまり、本来相反する乗り心地と走りのバランスを、キャパの大きい別タンク式の採用で両方ともよくしてしまおうという狙いなのです。

**こうして高機能を持った別タンク式車高調ですが、唯一のネックはコストでしょう。そこでTEZZOでは機能追及に妥協はせず、
その代わり装飾は簡素にしてコストダウンを図りました。

 

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